わが母の記
湯河原の父を見舞って帰京した、役所広司扮する小説家の伊上。その夜に父の訃報が入る。残された母、樹木希林扮する八重は妹たちに預けられるが、物忘れが激しく伊上に引き取られることになる。妻と三女が主に世話をする中、八重は息子を奪われたことを口走る。幼い時に曾祖父の妾に預けられ育った伊上は、そこで初めて八重の本心を知ることとなる。やむを得ない事情で幼い息子を手放した母親と、その母親に捨てられたと思い続けてきた息子の愛と葛藤を描く親子ドラマ。
決して切れない母子の絆
昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を原作とし、時折ぼけながらも息子への愛を必死で確かめようとする母と、母親と距離を置きながらも理解しようと苦悩する息子を、樹木と役所が熱演し感動を呼ぶ作品です。原田眞人監督によるモントリオール映画祭審査員特別グランプリ受賞という肩書きを持った作品でもあります。